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黄昏の冥加

昨日、一枚のハガキが郵便受けに入っていました。
この方の奥様からの寒中見舞いでした。
絵をこよなく愛したその方の、最後の作品が印刷されてありました。
黄昏の冥加_c0024861_15262392.jpg
まだまだ、人生に描き映したい彩りも、たくさんあったであろうと思いますが、この絵が最後の作品となりました。
                   と、奥様の言葉が添えてありました。

これを仕上げたのは、ここに電話下さった頃と思われます。
最後の入院の前に、全てを覚悟の上でお電話くださったと思うのですが
「黄昏の冥加」とタイトルをつけられた時のその方の気持ちを、葉書を手にし、絵をじっと見つめながらしばし考えました。

冥加とは
1) 気がつかないうちに授かっている神仏の加護・恩恵。また、思いがけない幸せ。
2) 神仏の加護・恩恵に対するお礼。

とあります。
全てのものに対しての感謝の気持ちと、守られてここまでこれたから心配しないで、という周りの方へのメッセージが「黄昏の冥加」 というタイトルを付けさせたのではと思うのです。
又、一日の終わりの黄昏時にいるのだという事か、
四季の中の秋を黄昏と捉えたという事か、
ご自分の人生の終わりを悟って黄昏の時に辿り着いているのだいう事か、
本当のことはその方しか分らないのですが、色んな事を考えています。
そして、力と励ましを貰っています。

私の拙い写真で申し訳ないのですが、ご覧になれますか?
大好きだった釜臥山が紅葉しています。
木々の葉が風に吹かれて舞っています。
ほらっ!風が回っているのが分りますか?
これはきっとご家族へのメッセージなのではと思います。
「この釜臥山の風になって、いつもお前達の周りにいるんだ…」
というその方の強い意思が伝わるのです。
「十分幸せだったから心配しないで…」
「頂いて来た命ギリギリまで生きたから後悔はないよ…」
との思いも伝わって来るのです。

痛みとの闘いだったと思うのですが、それでもこのような素晴らしい絵を残して下さったその方の御冥福を、あらためてお祈りいたします。
by koro49 | 2006-02-08 16:21 | 思うこと | Comments(20)
Commented by hisako-baaba at 2006-02-08 17:45 x
黄昏の冥加・・・素晴らしいですねえ。
お辛くても 冥加 と感じておられた方の生涯はトータルで充分にお幸せだったのですね。
残される方々への思いやりもうかがえて、素晴らしい方だったのですね。
ご冥福をお祈り申し上げます。
いい絵を見せていただきました。
Commented by joulupulla at 2006-02-08 17:50
あ~koroさんの書くメッセージって、いつも優しく心に響きます...
私もその方のご冥福を祈らせてください...
素晴らしい絵です、ホント!
「冥加」と言う言葉も私には新しい。
すべてのものへの感謝の心。私も忘れないようにします!
Commented by 2of4report at 2006-02-08 18:35
こんな風に人生に区切りつけれるなんて・・私も頃ちゃんの文にも、心が洗われる思いです。
ご冥福、お祈り申し上げます。
Commented by inariwan3 at 2006-02-08 20:50
画を趣味とされている方って、うらやましいと思います。
さらに画題の付け方もたいした物だって思う。
この身亡んでも作品は残るもんね。

ボクは画が描けないから写真撮ってんだヨナ。きっと…
そういえばNHK教育の絵画教室みたいな番組みて、画を描こうって思った時期もあったけど、とうとう身にならなかった…orz
Commented by kimi at 2006-02-08 21:18 x
いや~、ほんとに素敵な絵ですね~。
koroさんの文を読みながら、またじっと見直してます。
ほんとに胸がじ~んとなりました。

先日の詩といい、この絵といい、たとえ、身はなくなっても、ずっとそばにいてくれるような気が強くなってきました。
Commented by toosam at 2006-02-08 23:55
見たいと思っていた絵が見れましたよ!!!
確かにこの絵の中にあの方はしっかりとおられますね!
爽やかな風になって自由に飛び回られてる姿。
これは残された方達だけでなく見た人たち皆に
すぅ〜っと勇気を与えてくれる素晴らしい絵です!!
全てを肯定して行き着くところ。
謙虚にありのままを受け入れてこそ見えるもの。

ありがとう!
Commented by quilt4 at 2006-02-08 23:57
心が洗われるようです。
私もそんな心で最後までキルトしていられたらと思いました。
koroさんは優しい方ですね。
ご冥福をお祈り申し上げます。
Commented by peau0320 at 2006-02-09 00:54
『黄昏の冥加』、いい絵と素敵な言葉に感謝です。
この絵を最後に残された方。その絵をこうして寒中見舞いに
使われた奥様。素敵なご夫婦ですね。
その葉書をじっと大切に見入って、様々に思いを巡らせた
koroさんの文もじっくり読ませていただきましたよ。
随分前に観たキャサリーン・ヘプバーンの映画『黄昏』を思い出しました。
(老いと死と、親子の関係を描いた作品です。)
この方の言われてる「黄昏」はどれを指しておられたのか。
どれもであるようにも思えます。
冥加という言葉に初めて出会えました^^
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:03
>hisakoさん
>お辛くても 冥加 と感じておられた方の生涯はトータルで充分にお幸せだったのですね。
そうですね。
生前、この方はご家族に「幸せな人生だった」と感謝していたそうです。素晴らしい方でしたので、誰しももう少しと思うのですが、でもやっぱり全てを受け入れて旅立ったと思います。
又会えると思っています。
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:10
> joulupullaさん
素晴らしい方、素晴らしい絵を描く方、素晴らしい音楽を作る方、素晴らしい生活をされてる方…
名前も知られてなくても、沢山いらっしゃるんですよね。
この絵はやっぱり…
今も見つめているのですが、今はその方の色んな想いが凝縮されてるのを感じます。
私達は知らないうちに色んなものから、守られ、力を貰っているのですよね。
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:11
>チリンリさま
ある意味で、ご自分の最期の時をこのように表現できたこの方は幸せかも知れませんね。
私の拙い写真でも、この方の作品を見ていただけたこと嬉しいです。ありがとう。
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:16
>inariwanさん
絵でなくても、何でも表現できる人は素敵です。
inariwanさんの写真だってそうでしょう?
私はほんとシャッターを押すだけなんだけど、でもね、この写真は永遠の中のこの時以外の何ものでもない。この時しか撮れないものでしょう?たとえ風景、静物であっても、時間を切り取って止めて撮ってることでしょう?
それを繋いだら永遠になるんだから、写真もすごいなって思うのです。

「黄昏の冥加」のタイトルの意味は、ずっと考える事になりそうです。
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:20
>kimiさん
>たとえ、身はなくなっても、ずっとそばにいてくれるような気が強くなってきました。
そうだよね!別れた人は多くなってきてるけど、いつも近くにいるのを感じます。心の中はそんな人たちでいっぱいです^^;
今はその方がこの絵を描いてるときの様子を考えました…
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:30
>夢アブさん
一昨日、この葉書を手にしたとき、ここに載せるかどうか迷いました。写真がうまく撮れるかどうか、色、質感など伝えきれないと思ったからです。そして、キチンと伝えれなかったら、その方に申し訳ないと思ったのです。そして、やっぱり葉書の色と少し違うし、ホントのこの絵の素晴らしさは伝えれなかったと思っています。
でも、こんな素敵な絵を描いた方がいたという事、この記事を読んで下さった方たちに伝わってくれたとしたら、それで許して欲しいと思いました。
実物は私も見てないので、いつか伺いたいと思っています。
その時、これと一緒に描いたという白百合の絵にも会いたいと思っています。
この葉書を見ながらのレスですが、やっぱり涙が溢れてきます。
でも、全てを受け入れての旅立ちであったとしたら…
私もそのようでありたいです。
この絵はご自宅でご家族の皆さんに力を与えているのでしょう。
その方は亡くなられても、ずっと生きているのですよね。
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:35
>quiltさん
父の年を越えるまでと、父の年を越えた昨年の誕生日。
いつどんな事があるか分らないから、自分の最期の時を考えることがあります。
死に際、散り際なんてたいそうなものじゃないのですが、でも静かに全てのものに感謝して旅立ちたいって。
Commented by koro49 at 2006-02-09 13:43
>peauさん
私もこういう絵を描かれたことは聞いていたのですが、実際目にしたのはこの葉書でです。タイトルも知らなかったのです。
この方はご自分の中に、ご自分なりの哲学を確立していたと思うのです。絵もそうですが、タイトルも大きな意味を持ってるような気がします。
奥様との結びつきも強かったと思います。
奥様の絵も多く描かれてました。
>この方の言われてる「黄昏」はどれを指しておられたのか。
どれもであるようにも思えます。
たしかにそうですね。どれでもありそうです。
「冥加」仏教の言葉かな?と思ったけど、そうでもないのかな。
ほら、「冥加金」とか「冥加料」とかは聞いた事ない?
Commented by milwhite at 2006-02-09 16:58
冥加...ミルもkoroちゃんも みんながうけている、きっとね
ご先祖さんが 守ってくださってる
現世の私達を...冥加...ってね
こうして すばらしい絵を描くことができたのも まもられていたからかしら
そしてこうして見る機会をくださったのだって 冥加  ですよね。
なんとなく、とっても神妙なミルです。
ありがとうね。
だいじな宝物 見せていただきました。
Commented by naolicu at 2006-02-09 22:01
「死に際」を改めて考えました。
悔いのない人生をまっとうしようと思いました。
この世にこうした素晴らしいメッセージを置いて
旅立つなど、私には到底できないと思うますが。
Commented by koro49 at 2006-02-09 23:27
>ミルチャン
そうだね、その通りだと思う。
皆が冥加を受けて、又それを返しているのかもしれないね。
もしかしたら、冥加って受けた恩恵を又誰かに返していくことかもしれない。
>すばらしい絵を描くことができたのも まもられていたからかしら
そしてこうして見る機会をくださったのだって 冥加  ですよね
ああ、ミルチャンの言うとおりだ。ありがとう♪
Commented by koro49 at 2006-02-09 23:29
>naoさん
人生は一度きりだもんね!
悔いのない人生を歩みたいものです。
いやいや、形ある何かを残す事だけが全てではないでしょう?
naoさんは、そちらで素敵な事を沢山やってるでしょう?
私も何が残せるかを少し考えています。
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