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デトロイト美術館の奇跡

ずっと雨の日。
昨夜は肌寒さに寝具を一枚足して寝て、今朝は長袖重ね着、ストーブ使用。
帯状疱疹後の背中が痛み出すこと(もちろん発症時の痛みの三分の一程の痛みだけど)、手首が冷えてくることで、寒さ注意報が出る。
そんな訳で、午前中はウールのセーターを出してしまった。
真冬用はさすがに未だ必要としなくても、ウールの温もりが嬉しい。

前回返本に行き、原田マハさんのコーナーで見つけた本は、『デトロイト美術館の奇跡』で、実話がもとになっているという。
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財政破綻に陥ったデトロイト市で、債権者や年金受給者を救うため、デトロイト美術館の作品が標的となる。

主な登場人物は、溶接工とその妻、デトロイト美術館に多額の援助と多くの作品の寄贈をした人物、美術館のチーフキュレーター、そして『グランド・バーゲン(思い切った取り引き)』を提案した裁判官。

溶接工の妻は、長年美術館に通い、作品を『友だち』、美術館を『友だちの住む家』と呼び、自動車産業の斜陽化で退職前に解雇された夫を支え続けながら、ガンでの旅立ち。
表紙の絵、ポール・セザンヌの描いた『マダム・セザンヌ』は、美術館を支え続けた人物が最期の時まで一緒に暮らした作品。
市の財政が傾き、チーフキュレーターを含めた美術館職員も、いつ解雇になるかと不安を抱えながらの日々。
そこで裁判官が提案した『グランド・バーゲン』は、まさに大きな発想の転換。

コレクションを売却して美術館を閉鎖に追い込むのではなく、価値あるコレクションを維持し、美術館を存続させるために寄付を募る。アートの経済的価値を「売却」に求めるのではなく、コレクションを維持し、「寄付を募るアイコン」にする。そして集まった寄付金は、年金受給者の救済と美術館の存続、両方のために限定的に使用されるというもの。

美術館と年金受給者どちらか一方を救うのではなく、どちらも救うべきでありとの考えを導き出した裁判官に拍手を送りたい。
そして、貧しい一市民であったフレッドとその妻や多くの人たちが愛する『友だち』と『友だちの住む家』が守られたことが嬉しい。
もう一つ言うなら、この事が無かったら出会えなかっただろう溶接工のフレッドと、チーフキュレーターに芽生えた友情にも大きな拍手。
二人を繋いだ『マダム・セザンヌ』を、フレッドは「いちばん気の合う友だち」と言っている。
何度か胸が熱くなり、三度読んだ。

美術館とは違うけど、視点を変えた『グランド・バーゲン』って必要だと思った。
もちろんそこに個人の損得勘定があれば、痛みと失敗が伴いそう。
キーワードは『無償の愛』な~んて。

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雨降りでも二階で冬物に目を通そうと思ったから、のっけ弁を作った。
12時のチャイムが鳴り「食べる?」「未だいい。」
食べたのは朝ドラの再放送を見ながらの時間。
茄子のはさみ揚げが面倒で、ハンバーグの種にナスを刻んで混ぜ込み焼いた。
冬のような過ごし方の一日で、時間に余裕が出来るから冬の間ものっけ弁は作るかも。
デトロイト美術館の奇跡_c0024861_16184627.jpg
今夜の主食は、ずっと食べたかったラーメン。
他は残り物を片付ける。
by koro49 | 2018-09-10 10:45 |
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