<< ミカンジャム 私の飯寿司 >>

私のふたころめ

師走に漬けた白菜漬け。
初めて漬けたので小さな白菜を5個ほどでした。
その株を8個ほどに切り分け、一日干して、少しの塩で下漬け。
水が上がったら人参、生姜、昆布、唐辛子、麹少々で本漬け。
年越しの日に初めて食べました。
これもまあまあ美味しく漬かりましたが、おすそ分けし、あと少しを残してちょっと酸味が出てきました。
その酸味も又いいものですが。
お昼に取り出して記念写真。
右から根元、ふたころめ、先の方と私の好きな一番の先っぽ。
私のふたころめ_c0024861_1631698.jpg
そして、私の 『ふたころめ』   
私のふたころめ_c0024861_1633135.jpg
『ふたころめ』って耳新しい言葉だと思われる方もいらっしゃるのでは?
私も沢村貞子さんの「私の台所」を読んで、初めて出会った言葉でした。
沢村さんの柚子入りの白菜漬けの漬け方の後に、『ふたころめ』のお話が書いてあります。
今はこんな事もないのでしょうが、昔の嫁の姿を表していると、時々思い出す文を引用させて頂きます。

****************************************



****************************************

『ふたころめ』   沢村貞子著 私の台所(朝日文庫から一部引用)

 美味しすぎる白菜の漬物のために、不幸になった哀れな娘の話を、子どものころに母にきかされた。
 家中の人から、宝物のように大事にされて育った豪農の末娘が隣村へお嫁にいった。三日三晩、村中がひっくりかえるような賑やかな婚礼だった。けれど・・・人形のように可愛らしいその花嫁は、一と月とたたないうちに実家へ帰された。ことのおこりは白菜漬けだったそうな。お姑さんに言いつけられて四斗樽から白菜を出したお嫁さんは、しぼってマナ板の上にのせ、一寸(三センチ)ほどに切っていった。舅、姑、小姑、夫と自分のお膳にそれをわけるとき、彼女はあたまから二つ目を、まず自分の小皿にのせた・・・実家の母が、いつもそうしてくれたように・・・。あどけない新妻には、なんの悪げもなかったのだった。しかし、「このような女子は、うちの家風にはあいません」
仲人を通して伝えられた姑の言葉に、生家の母はただ、うなだれるばかりだった。
(私のしつけが行きとどかなかった・・・)
 どんなときも、まず可愛い末娘の小皿にのせてやった二切目・・・ふたころめは、白菜漬けのいちばん美味しいところだった。
(可哀そうなことをしてしまった・・・。)
 思いがけなく、離婚の憂き目をみた新妻は、おとなしい夫との悲しい別れを憶い出して、ただ毎日泣き暮らした。その家では、冬になっても二度と白菜は漬けなかった、という話。
 ところであなたは、誰方のお皿にのせますか?ふたころめを・・・。
 私?もちろん夫の小皿に・・・。
(でも、ほんとは彼はお漬物は一口しか食べないんです。ですから結局、私が・・・残りものを片付けるような神妙な顔をしていただきます。まことにいい工合です)


どうでしょう?
結局は目配り、気配りしなさいという事だと思うのですが、白菜漬けを美味しいと思う部位は人それぞれのような気がします。
私のように、先っぽの葉っぱが好きな人間もいますからね。
我が家では沢村さんの文に出てくるように、小皿に取り分けません。丼に切って出しますからこんな事はありませんが、でも、結婚当初、両親と一緒の食事の時は、テーブルに並べる魚の切り身に気を使いましたし、今も同じ。
ただ我が家で子供たちと一緒に食べる時は、大きい方を子供たちに。
カロリー消費量からいっても、その方がいいと思いますね。

『ふたころめ』のこと、娘に伝えていなかったなと・・・遅まきながら^^;
by koro49 | 2008-01-07 16:57 | 保存食 | Comments(30)
Commented by kabo518 at 2008-01-07 18:21
私は中の黄色い所が一番好き♪
日本人の心と言葉・表現の粋な部分。
顔の凹凸が少なくても、私は日本人でよかったヨ。
Commented by kuriko00 at 2008-01-07 19:01
私も思い出しました~
私の台所
私もkoroさんと同じとこが好きだったので、ふたころめって印象に残りました。
うんうん、日本人で良かった!
Commented by akuya at 2008-01-07 20:27 x
お邪魔します・「ふたころめ」樽から一株だして何等分かに切り器に入れそれぞれ好きなところで美味しくいただきます「・ふたころめ」も好きな人もいればですね。葉さきでご飯を包んで食べるの好きです。全部美味しい。koroさん前回の飯ずし上手にできましたね・私も好きですが自分では作りませんので函入りで買います。
Commented by after-shock at 2008-01-07 20:57 x
俺も先の葉のほうが好きですよ。
昨日の食卓に出ていたはずですが手をつけずじまいで申し訳ありません。
秋田に戻り、自分の部屋で画像を見て今さら食べたくなっています↓
昨日、日本のしきたりという本を買って読んでいました。
そのなかに「よその家に食事に招かれた時のおかわり」のしきたり、たるものが載っていました。
「おかわりをする時には一口食べ残した椀を差し出す=その家の主との縁を保ちたい」という意思表示で
もてなしに感謝し人間関係をさらに深めたいという積極的な気持ちも表しているそうです。
気配りと作法は同じようなものだと思いますが日本人の習慣・文化というものは地域差もあって難しいものですね。
今回はメガネを置き忘れましたが、「何かを残して縁をつなぐ」という作法であったと思って頂ければと・・・。
これからは、たまに覗いてコメントします。よろしくお願いします。
Commented by inariwan3 at 2008-01-07 21:08
>我が家では沢村さんの文に出てくるように、小皿に取り分けません。

ウチも大皿に盛って出てくるから、それぞれの欲と遠慮が交錯した中でのバトルです(なんのこっちゃ…笑)
Commented by nasuka99 at 2008-01-07 21:17
こんなことで離婚なんかすな!!(笑)って感じですが、
まぁ、同居するんなら、こういう姑さんとはうまくいきませんよ、きっと。
かばってくれない夫なんかとは、早く別れて正解だった、という落ちがあったり(笑)
ウチは、親がどうだったかは知りませんが、
私は、おいしいところは子どもをはじめに、他人に譲る方ですね~
おそらく、充分に親の愛情を受けてきたと思うので、
あまり食に執着がないのではないかと(笑)
私が愛情を受けてきたのと同じように、今は他者に注ぎたい、って無意識に思ってるんでしょうか??(爆)
マジメな話、愛に飢えている子は、すごく食べ物に執着しますよね。
食べることは、生きることですもんね。
Commented by juliavonlea at 2008-01-07 22:14
うちでも、どーーんと出します。
でも、誰かだけが同じ部位を食べることにならないように、
置く時に、見た目は多少悪くなりますが・・・
先端の部位、真ん中、裾の部位を、うまく重ねておきます。(笑)
沢村さんの本、ずいぶん前に生きていらした頃に読んだきりですが、
ご主人のこと、好きなんだなぁ~というのが印象に残っています。^^
Commented by hisako-baaba at 2008-01-07 22:35
ふたころめ・・・初めて知りました。
でも私も先っぽが好き。一番根元も甘いから好き。

お人形ちゃん出来ました。説明読んで・・・
蓑虫ちゃんの作る手順がちょっとわからなかったけど、二つ目を作ったらやりやすい手順がわかりました。
有難うございました。一つ覚えで作り続けそう・・・やっぱり毛糸の帽子より、紐をグルグルの方が良い感じですね。日曜に材料買ってきていっぱい作って配ります。
有難うございました。
Commented by cheris_1et3 at 2008-01-07 23:08
とっても遅くなりましたが。

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
2008年がkoroさんとご家族にとって素晴らしい年になりますように。

今年も楽しいお話、美味しいお話、楽しみにしています~!
今日のふたころめも味のあるお話で、その上、白菜が美味しそうで くらくらしそうでした。
私は白菜は、丸ごと全部、大好き!です。
でも、娘三人を持つ身。”ふたころめ”の教訓は要するに、周りの人の事を考えなさいということですよね。人の気持ちを考える人に育てなければ、と思いました。 (でも これで離縁になったら怒るけど。笑)
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:26
>kaboちゃん
私も固くて白い所より、黄色かったり、柔らかい先っぽの方がすき。
そうそう、柔らかい葉っぱの先の方でご飯を包んで食べたな^^
日本語の美しさ、微妙な表現の仕方、いいな☆って思うけど、忘れたり、知らないでいることも多い^^;
バディは凹凸があった方が良かったりして^^
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:28
>kurikoさん
『私の台所』は大好きな本。
物の始末の仕方とか、心構えとか、色んな事を教えてくれる本でもあるね。
沢村さんのお母さんも素敵な方だったと思う。
何れにしても、昔の人たちには敵いません^^;
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:31
>akuyaさん
初めまして!
ようこそいらっしゃいました♪^^
そうなんですよね。『ふたころめ』が好きな人もいるし、私のように先っぽが好きな人間も。
でも、こんなお話があるという事は、『ふたころめ』が好きな人が多いのでしょう。
私も、ご飯を包んで食べました^^
飯寿司、まあまあの出来でした。
一度、笹寿司のように、押寿司風に作ってみたいです。
これからも宜しくお願いいたします♪
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:35
>after-shock さん
はじめまして!
ようこそいらっしゃいました♪^^
あはは!食べ忘れましたか?
じゃ、次回もこの時期のご訪問お待ちしています^^
>おかわりをする時には一口食べ残した椀を差し出す=その家の主との縁を保ちたい
そう言う考え方もあるのですね。
私が小さい時は、全部食べてからお代わりしなさいって言われました。
色んな考え方は、家庭によっても、地方によっても違ってきそうですね。
メガネね、「アレッ?」って、気付き、営業所に持ち込んでくれました。
又遊びに来て下さいね♪^^
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:36
>inariwanさん
>それぞれの欲と遠慮が交錯した中でのバトル
あはは!その様子が目に浮かぶ浮かぶ^^
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:40
>nasukaさん
何と言っても、沢村さんのお母さんが沢村さんに話してくれたことだから、江戸時代あたりのお話かと^^;
ほら、結婚するまで相手の顔も知らないとか、悪い庄屋に娘を借金の形にに取られたとかの頃のお話でしょう。
>おいしいところは子どもをはじめに、他人に譲る方ですね~
nasukaさん、私と会った時も譲ってちょ!^m^
他者の私に愛情を!!^^
>マジメな話、愛に飢えている子は、すごく食べ物に執着しますよね
悲しいかな、現実だと思いますね。
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:42
>hisakoさん
あっ、hisakoさんも初めての言葉でしたか?

hisakoさんの創作意欲はますます盛んですね♪
これからの作品も楽しみだし、私も又挑戦したくなりました^^

Commented by koro49 at 2008-01-07 23:47
>juliaさん
ごめん、順序間違えました。
遠い昔の家族は大人数だったけど、私たちは子どもがいた時で4人。今は普段は二人だし、奪い合うこともなくなって寂しいものです^^;
>先端の部位、真ん中、裾の部位を、うまく重ねておきます
それも、ひとつの方法ですよね。
沢村さん、ご主人を本当に愛していたんですよね。
で、亡くなられた途端、あれほど作っていた料理も作らなくなって、やっぱり食べさせたいと思う気持ちが、美味しくて心のこもった料理になるんだなって。
ご主人への接し方も又、明治の女性だなって^^
Commented by koro49 at 2008-01-07 23:53
>cherisさん
明けましておめでとう♪
私も未だ挨拶に行けてなくてごめんなさい^^;
小正月の頃までには回り終えたいなって^^

あっ、シェリさんは可愛いお嬢さん3人ですもんね^^
ま、白菜の漬物の好きな部位はそれぞれでも、周りの人の事を考えながら何でもしなさい、という事なのでしょう。
気配り目配りは大切ですね。女性でなくても男性でも^^
人の気持ちを思いやる事も大切だし。
と、いう事で今年も宜しくお願いしますね!^^
Commented by soleiljap at 2008-01-08 02:05
これまた極端なお話ですね。

食べものは身体を育て、食卓は心をもはぐぐむところだと思うのです。
たとえば、みんなが席につくまで待つ。手を合わせて「いただきます」を言って食べるとか。(当たり前か)
子どもたちの好きなものは私のお皿からすこしとって、子どもたちに多めによそってあげたりしますが、息子は、私が見てないうちに、そっと私の皿に戻しています。(娘はそれがないの・・・笑)
配膳の時、娘は必ず「パパのはどれ?」と聞いて持っていったり。毎日の食事、いろんなことが自然と身に付くんですよね。

で何をいいたかったかといえば、どんなときでも、美味しいものはみんなで分け合う! ですね
Commented by koro49 at 2008-01-08 17:52
>ソレちゃん
何しろ江戸時代あたりの頃かな??^^
>食卓は心をもはぐぐむところ
そうですね!
でも、それが出来てる家庭ってどれほど?って思います。
我が家もご他聞にもれず、主人と一緒の食事は普段は少なかったようです。
色んな話をしながらゆっくり皆で食べる食事は、おかずが少なくても心がパワーアップしますよね♪
そう、皿にそっと移してやったり、「いいよいいよ!お母さんも食べて!」って、言われたり。
そんな気持ちが嬉しいですよね。
>娘は必ず「パパのはどれ?」
娘さんにはソレちゃんの気持ちがちゃんと伝わっていますね!
そう、少しのものでも皆で食べれば美味しい!と言うことで♪

だから、色んな種類のケーキの時は、皆で分けて食べたい方^^;
って、それはちょっと違うけど^^
だって、どれも味見したいもん♪
Commented by ricette2 at 2008-01-08 18:11
koroさん♪
遅まきながら、あけましておめでとうございます。
ふたころめのお話し、興味深く拝見させていただきました。
最近は白菜漬けよりもキムチを大量にいただく我が家。
今度、キムチのふたころめをうやうやしく主人に出してみたいと思います。
でも、私も先っぽが好きです♪
今年もよろしくお願いいたします。
Commented by kathy at 2008-01-08 21:33 x
子どものころ、柔らかい葉の先のほうでご飯をまいて食べるのが好きでした。
最近は黄色の甘いところや真っ白の少々堅いところをバリバリ食べるのもお気に入りです。

ふたころめ…、いい響きですね。
Commented by tutty0603 at 2008-01-08 22:01
koroさん、
今年もよろしくお願い致します♪
ふたころめって、私も初めて聞きました。
甘やかしすぎた親も甘えすぎていた娘も教訓その1と言う感じですね。
・・・と、結構容赦ナシの私は自分に甘いですぅ。(大汗)

沢村貞子さんの生き方は潔かったですね。大好きでした。
Commented at 2008-01-09 09:46
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by koro49 at 2008-01-09 14:56
>ricetteさん
私も遅れちゃったけど、明けましておめでとう♪
>キムチのふたころめをうやうやしく主人に出してみたい
うふふっ!
ricetteさんが、うやうやしくご主人にキムチのふたころめを差し出してる様子を想像しました^^
でも、ご主人はふたころめはお好きなんでしょうか??
あっ、結構先っぽの好きな方は多いですね♪
こちらこそ宜しくお願いいたします!
Commented by koro49 at 2008-01-09 14:58
>kathyさん
あっ、結構みなさんそんな食べ方してるんですね!
私も好きでした。
お昼にジャガイモの塩茹でと、白菜の漬物、それも凍ってて、懐かしいです。ストーブの上に載せた焦げ目のついたジャガイモ美味しかったし、匂いも思い出しました^^;

そう、いい響きですね!
Commented by koro49 at 2008-01-09 15:03
>tuttyさん
こちらこそ宜しく♪
沢村さんの本を読む限り、娘さんは実家でしていた通り、婚家でもしたのでしょう。実家のお母さんは、可愛い娘に「ふたころめ」は一番美味しいところだから、目上、大切な人に上げるものと教えたら良かったのでしょうね。
今はこんな事はないでしょうし、ここのコメントを読んだ限りでも、「ふたころめ」以外の部分を好きな方が結構いました。
何れにしても母が娘に教えるべきこと、色々あるんだと、ちょっと責任&気を引き締めたりして^^;

私も沢村さん、大好きです。着物の着方も素敵でしたね♪
あたしゃ無理だけど^m^
Commented by koro49 at 2008-01-09 15:04
>鍵さん
あっ、いえいえ~♪
まっ、嬉しいです^^
Commented by hatt at 2013-01-24 13:50 x
ふたころめ を検索してはじめておじゃましました。やさしいこたとばときれいな写真をみせていただき おだやかなきもちになれました。ありがとうございます。
Commented by koro49 at 2013-01-24 16:40
>hattさん
初めまして♪
奥の間まで、ありがとうございます^^。
メール代わりに始めたブログですが、ありのままの私が伝わればいいと思っています。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< ミカンジャム 私の飯寿司 >>