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育て始め

昨日読んだ『買えない味』のエッセイのひとつに、

鉄瓶 おいしい白湯を飲もう
 
があった。

あの日、鉄瓶を使う生活を目指して持ち帰ったはずなのに、押し入れに入れたまま。

冬の寒い日の朝、炭を熾し火鉢に火を入れ鉄瓶を載せる。
湧いたお湯で、お茶、コーヒー、時にはパン、餅を焼きたいなどと思っていたのが、灰を入手する所で頓挫。
エッセイを読み、火鉢は取り敢えず置いといて、鉄瓶を日常使いにしよう、白湯を飲もうと思った。

買ってからかれこれ三年、鉄瓶の箱に入っていたリーフレットを参考に今朝から鉄瓶育て中。

最初にお湯を沸かすときは
  ☆水を入れる量は8分目以下で
  ☆蓋を少しずらしたままで沸かして下さい

その通りに実行、3回目から美味しく飲めると書いてあり、三回目の白湯を口に含んだら、少し金臭さを感じ、あれから3年も経ったしと、キッチンに立ちながら、沸かす、捨てる、余熱で乾かす、熱いうちにかたく絞った布巾で拭くことを繰り返していた。
11時近くになった時、そろそろいいかな?と、飲んでみたら、平松さんの表現を借りれば

とろ~んと甘い。甘露が舌の上でころころ転がるかのように、ふうわり優しい。口当たりはビロードのなめらかさ。白湯がこんなにおいしいなんて、生まれて初めて知った。


そんな味わい。とろ~んとまろやか美味しく嬉しくなった。
試しに、その後いつものヤカンで沸かした白湯も飲んだら、明らかに違う硬い味。
ガス火使用の時は、中火以下(鉄瓶の底は鍋、フライパン等と違い、軽くするため薄く作られているため)とのこと。
育て中の鉄瓶と、最初の白湯は白いカップで。
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鉄瓶を使い始めてからの平松さん、毎朝起きたてに三杯の白湯を楽しむのが習慣になったという。
寝る前に鉄瓶に水を満たして沸騰させ、火を止めて一晩置く。
翌朝、あっためて飲む白湯の美味しさは格別らしく、今夜から早速実行。
火鉢とセットすることばかり考えていたけど、毎日使ってあげる。
これを置いたら、キッチンの景色が良くなった。

鉄瓶を拭きながら、遠い昔の母が30代だった頃の姿が甦った。
ストーブの上の大きな鉄瓶をよく拭いていたこと、掃除の時は、まず炉縁を拭き清めていたこと、
寒い日の雑巾がけ、バケツのお湯から湯気が盛んに立っていたこと。
どこの家もそうだった時代、部屋の外は特に寒かった。
両手を揃えて膝を付き、力を込めて雑巾がけしてたこと、母の雑巾がけの後はスッキリ綺麗だった。
もらった無形の財産。

この年になってから育て始めるものは、もうあまり無いかもしれない。
老夫婦二人の暮らしでも、時にはせかされるような時もある。
そんな時は白湯で一休さん、その後鉄瓶の肌を拭き無心タイム。
もちろん沸かしたお湯での、コーヒー、紅茶、ほうじ茶も楽しみながら。
そんな時を大切にしたい。
by koro49 | 2017-11-24 14:59 | 好きなもの
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