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もうひとつの戦争

この記事を読んで、コメント欄に「私も点滴治療にゲットします」と、コメントしたら、30日の日に封書に入った『お父やんとオジさん』が、ポストから顔を出していた。
「送るよ!」のメールは届いていたけど、早速に感謝。

今日も暑いね。。。。ゆっくり読んでくださいね。
何事も根を詰めると「目」や「肩」にきますから。


メールはそう終わっていたので、その夜は序章で我慢。
翌日は一日雨降り。ちょっとやりかけていた事があったので、本はゆっくり読ませてと返信したのに、いつもの家事以外の空き時間全てを、引き込まれるようにこの本の世界に。
翌日は午後の空き時間と夜・・・ついつい我慢できずシンデレラの時間を過ぎて読了。

伊集院静さんのこの本のことは、たまたま見たNHKのスタジオパークで知り、番組の中で伊集院さんはお父さんとの確執と断絶の時があったことを、淡々(のように見えたけど、こう話せるまでには長い時間がかかったのだと思う)と話していたけど、見ていた私は、お父さんへの尊敬の念を感じながらだった。
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読んでる間も読了後も、あまりにも自分の朝鮮戦争に対する知識の無さを思い知らされ、この国と韓国、さらには北朝鮮と、二つ、いいえ、三つの祖国の狭間で、自分のアイデンティティーの確立に悩んでいたであろう当時の若い人たち、その親世代の人たち、さらには今を生きる若い人たちの事を思わずにはいられなかった。
この書評を書かれた姜尚中さんも又、ふたつの祖国の間で悩み欝病になったことがあった事を先日知ったばかり。
昔から、戦争の方法は変化しているとは言え、結局は人と人との殺し合い、そして死んで行く名もない自分の意見を言うことすら出来ない人たちのことを思いながら、今も繰り返されている愚行が、一日も早く世界中から無くなることを願うばかり。

当時の故郷の村には、私の知る限りでは朝鮮半島から来た人は居なかったように思うし、なので二世の同級生も居なかったけど、意味も分らずその人たちを揶揄する言葉は人づてに覚えていて(それは多分、戦時中大間鉄道を敷設するため半島から来た人たちの事を言ったのだと思う)、母の前でその言葉を何気なく言ったら「N子!そったらごと言うもんでね!!(そんな事言うものではない)」と、こっぴどく叱られたのを覚えてる。
家人の同級生にはかの国へ帰った人もいて、この本の前にも時々その人たちの事が話題に上ることがあったので、是非読んでもらおうと思っている。
chiekoさんのトコトコ通信の最後に、

改めて戦火、戦禍の中での人々の暮らしを知りました。

と書いてあったけど、私も同感。
そして戦渦は今も続いているのですね。
chiekoさん、いい本をありがとう。もう少し貸して下さいね。
私はもう一度読むつもり。

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本の装丁を見るのも好きで、この本は長友啓典、脇野直人+K2となっていました。
カバーを外して出てきたのは星の見えない夜の対馬海峡、カバーには夜の対馬海峡に映る星明かり、を表現したのかな?と考えたけど。
作者の主張をどう表現するのか、ジャケ買いではないけど、購買意欲にも影響すると思う装丁、iPadになったら、その辺はどうなるのかな?とふと思う。もうひとつの戦争_c0024861_1717343.jpgもうひとつの戦争_c0024861_17174939.jpgもうひとつの戦争_c0024861_171875.jpg







この本には『むくげ』を添えたかったし、今あちこちの庭先で咲いているむくげを見かけるけど、我が家にはないので、先日の朝の初咲きの朝顔を。
伊集院さん、「野の花が好きなんですよ・・・」って言ってたっけ。
読みながら、映画化するなら父親役は若い日の高倉健さんもしくは松田優作さん、母親役は夏目雅子さん以外に浮かばない、な~んて。

「人間は生きていればそれでいいんですか。そこに希望がなくてもですか」
「私はそう信じています。生きていれば希望は見つかるものだと信じています」

後半のクライマックス、吾郎の問いかけへの宗次郎の答え。
問いかけは未だ続くけど、これが全てと思う。
この本は伊集院さんの人生のバックボーンになった本だと思うし、お父さんへ捧げた本のようにも思ったのは私だけかな?

ちょっとのお休みに、この本でたくさんの力をもらいました。
ありがとう。
by koro49 | 2010-08-03 22:45 |
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